最新更新日付 2021年6月20日

法定相続情報証明制度とは、相続人が法務局に書類を提出して、
法務局の登記官が書類(戸籍謄本等)の内容を確認した上で、
法定相続人が誰になるのかを、登記官が証明する制度です。

この法定相続情報証明制度を利用すれば、各相続手続き先には、
「相続に必要な戸籍謄本等の原本一式」の提出の代わりに、
「法定相続情報一覧図の写し」1枚の提出でも良くなります。

そのため、あなたが進める相続手続き全体を、
劇的に速くて楽にする可能性がある制度なのです。

法定相続情報証明制度を利用した場合どうなる?

制度を利用した場合の流れを、
わかりやすく図で表しますと次のようになります。

「法定相続情報一覧図の写し」の見本
法定相続情報証明制度を利用した場合の流れ
(図1:法定相続情報証明制度を利用した場合の流れ)

「相続に必要な戸籍謄本等の原本一式」の代わりに、
「法定相続情報一覧図の写し」1枚の提出でOKに!

なぜなら、「法定相続情報一覧図の写し」1枚は、
「相続に必要な戸籍謄本等の原本一式」の代わりになる書面で、
法定相続人が誰なのかを、法務局が証明している書面だからです。

そのため、各相続手続先で時間のかかる戸籍審査も省略となり、
戸籍書類を戻してもらったり、戻してもらった戸籍書類が、
そろっているかどうかの確認作業を何度もする必要がなくなります。

その結果、相続人の作業が楽になり、
各相続手続き全体にかかる時間も大幅に短縮できるのです。

「相続に必要な戸籍謄本等の原本一式」の代わりに、
「法定相続情報一覧図の写し」の提出で良い手続きは?

「法定相続情報一覧図の写し」の提出で良い手続きの一覧
  • 銀行預金の相続手続き
  • 銀行預金の口座調査や残高証明書取得の手続き
  • 保険金の受け取り手続き
  • 年金関係の手続き
  • 株や投資信託の相続手続き
  • 株や投資信託の口座調査や残高証明書取得の手続き
  • 不動産(土地・家屋・マンション)の相続手続き
  • 自動車の相続手続き
  • 相続税の申告手続き
  • 遺言書の検認手続き

上記のように、法定相続情報証明制度は、
ほとんどすべての相続関連手続きに対応しています。

法定相続情報証明制度は誰でも利用できる?

法定相続情報証明制度は、誰でも利用できるわけではありません。

相続人の1人か、その代理人のみが、
法定相続情報証明制度を利用できます。ただし・・

ただし、制度を利用するには、
被相続人(亡くなった方)と法定相続人が、
全員日本人であることが必要です。

なぜなら、相続人の内、1人でも日本国籍以外の人がいると、
戸籍謄本等を添付できないため、
制度を利用することができないからです。

もし、相続人の中に、日本国籍で海外在住の相続人がいても、
戸籍謄本等を添付することはできますので、
制度の利用はできます。

なお、制度を利用できる人についてさらにくわしくは、
法定相続情報証明制度を利用できる人は?」をご確認下さい。

法定相続情報証明制度を利用した方が良い?

亡くなった方の相続人であれば、
誰もが制度を利用した方が良いわけではありません。

法定相続情報制度を利用した方が良い方と、
利用する必要のない方がいます。

そして、その判断の仕方としては次のとおりです。

制度を利用した方が良い方

次の内、どれか1つでも当てはまる方は、
法定相続情報証明制度を利用した方が良いと言えます。

  • 複数の銀行に亡くなった方の口座がある方
  • 銀行預金、保険金、年金関係、株、不動産、自動車の内、亡くなった方の財産が複数ある方
  • 銀行預金や株などの残高または口座の有無を事前に調べる必要のある方
  • 相続税の申告が必要になりそうな方
    ※相続税の申告は、遺産の総額が3000万円+(法定相続人の数×600万円)を超える場合のみ必要。
制度を利用する必要のない方

次の内、どれか1つでも当てはまる方は、
法定相続情報証明制度を利用する必要がないと言えます。

  • 亡くなった方の財産が1つの銀行口座のみの方
  • 相続放棄をされる方

引き続き下記で、「法定相続情報とは何か?」、
法定相続情報証明制度のメリットとデメリット」、
法定相続情報証明制度の利用に必要な書類は?
について解説しています。

法定相続情報とは何か?

法定相続情報とは、民法の相続を基本にした、
被相続人(亡くなった方)の情報と、
法定相続人全員の情報のことです。そして・・・

そして、民法では、人が亡くなった場合に、
誰が相続人になるのかを定めており、
民法で定められた相続人のことを法定相続人と言います。

具体的には、被相続人(亡くなった方)に、
配偶者(夫又は妻)と子供がいれば、
配偶者と子供が法定相続人になります。

もし、被相続人に子供や孫がいなければ、
両親が法定相続人となり、
両親・祖父母も全員亡くなっていれば、
兄弟姉妹が法定相続人となります。

いずれも、被相続人の配偶者は常に法定相続人です。

そして、被相続人が誰でいつ亡くなり、
その法定相続人は誰なのかという情報が、
法定相続情報ということになります。

法定相続情報証明制度では、被相続人(亡くなった方)が誰で、
いつ亡くなり、その法定相続人は誰なのかという情報を、
「法定相続情報一覧図」という書面1枚で表します。

法定相続情報一覧図とは何かや、見本、作成方法については、
法定相続情報一覧図とは?」「法定相続情報一覧図の見本」、
法定相続情報一覧図の作成方法・手書きOK?」を参照ください。

引き続き、「法定相続情報証明制度のメリットとデメリット」、
法定相続情報証明制度の利用に必要な書類は?」、
制度利用の手続き先・手数料・手続きにかかる日数は?
について下記で解説しています。

また、法定相続とは何か、法定相続人の範囲については、
法定相続とは?法定相続人の範囲と法定相続分」で、
くわしく解説しております。

法定相続情報証明制度のメリットとデメリット

法定相続情報証明制度を利用する場合、
メリットとデメリットは次のとおりです。

法定相続情報証明制度の5つのメリット
  1. 「相続に必要な戸籍謄本等の原本一式」の提出と、
    書類審査がそれぞれ1回で済むようになる。
  2. 各相続手続きを同時進行で進めることができるようになる。
  3. 各相続手続きを同時進行で進めることができるので、
    すべての相続手続き完了までの時間を大幅に短縮できる。
  4. 「法定相続情報一覧図の写し」は5年間なら、
    無料で何回でも再交付してもらえるので安心できる。
  5. 自分で制度利用の手続きをするのが難しい場合、
    代理人に依頼することもできるので安心して相続を進められる。

以上が、制度を利用した場合の5つのメリットです。

相続手続き先(手続き先)の数が多ければ多いほど、
上記の各メリットが大きくなります。

逆に、亡くなった方の遺産が銀行預金だけで、
相続手続き先が銀行1ヶ所のみといった場合には、
法定相続情報証明制度を利用するメリットはあまりないです。

制度を利用するデメリットは何?

法定相続情報証明制度を利用するデメリット
  1. 法定相続情報証明制度の利用手続きが必要になる。
  2. 法定相続情報証明制度の利用を専門家に依頼する場合、
    手続きが楽になる反面、料金がかかる。

以上が、制度を利用した場合のデメリットです。

なお、法定相続情報証明制度を利用しても利用しなくても、
事前に「相続に必要な戸籍謄本等の原本一式」を、
すべてそろえる作業が必要なことに変わりはありません。

制度を利用した後のそれぞれの相続手続きで、
より速く楽に進めることができるかどうかが、
制度を利用した場合と利用しない場合とで大きく違うのです。

なお、制度利用のメリットとデメリットについては、
法定相続情報証明制度のメリットは?」や、
法定相続情報証明制度のデメリットは?」で、
さらに具体的にくわしく解説しています。

引き続き、「法定相続情報証明制度の利用に必要な書類は?」、
制度利用の手続き先・手数料・手続きにかかる日数は?
法定相続情報証明制度の利用手続きは代理人でもできる?
について下記で解説しています。

制度を利用する場合の具体的な手順(流れ)については、
「法定相続情報証明制度の利用の手順(流れ)」を参照ください。

法定相続情報証明制度の利用に必要な書類は?

法定相続情報証明制度の利用に必要な書類には、
必ず提出が必要な5つの書類と、
提出が必要になることがある2つの書類があります。

必ず提出が必要な書類は、次の5つの書類です。

1.法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の様式
(図2:法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の様式)

申出書の最新の様式は上図2のとおりで、
赤文字部分が記入すべき箇所です。

申出書の最新様式や記載例、書き方、ダウンロードは、
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」をご確認下さい。

2.法定相続情報一覧図
法定相続情報一覧図の見本
(図3:法定相続情報一覧図の例)

法定相続情報一覧図とは、上図3の例のように、
被相続人(亡くなった方)の情報と、
法定相続人の情報を一覧にした図のことです。

法定相続情報一覧図については、
法定相続情報一覧図とは?」、
法定相続情報一覧図の見本」、
法定相続情報一覧図の作成方法・手書きOK?」でくわしく解説しています。

なお、法定相続情報一覧図の写しとは何かについては、
法定相続情報一覧図の写しとは?」を参照ください。

3.被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本等
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等の例
(図4:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等の例)

上図4のように、出生から死亡までの戸籍謄本等としては、
戸籍謄本1通だけでなく、
除籍謄本や原戸籍という種類の戸籍もそれぞれ複数必要です。

また、被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票についても、
どちらか1点必要になります。

もし、被相続人の兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合は、
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等に加えて、
被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本等も必要となります。

くわしくは、出生から死亡までの戸籍謄本とは?」を参照下さい。

4.法定相続人全員の戸籍謄本 または 戸籍抄本

戸籍謄本(こせきとうほん)というのは、
その戸籍の内容の全部が記載された書面のことで、
全部事項証明書とも言います。

戸籍抄本(こせきしょうほん)というのは、
その戸籍の一部の内容のみが記載された書面で、
一部事項証明書とも言います。
謄本または抄本を役所で取得する手数料は同じなので、
謄本を役所で取得することをお勧めします。
5.申出人の住所と氏名を確認できる公的な書類

申出人とは、法定相続情報証明制度の利用手続きをする人(1名)のことです。

申出人の住所と氏名を確認できる公的な書類として、
次の3つの内のいずれか1点のコピーが必要になります。

運転免許証
マイナンバーカード
住民票住民票記載事項証明書(住民票の写し)の見本

提出が必要になることがある書類は、次の2つの書類です。

1.相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合にのみ、
記載した相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)が必要になります。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは、
申出人が任意で選択できる事項です。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載した場合と、
相続人の住所を記載しなかった場合の違いについては、
法定相続情報一覧図に住所の記載は?」を参照ください。

2.委任状と、親族関係のわかる戸籍又は資格者の身分証の写し
法定相続情報証明制度の委任状の様式
(図5:法定相続情報証明制度の委任状の様式)

法定相続情報証明制度の手続きを代理人に委任した場合に、
「委任状」1枚と、代理権を証明する書類が必要になります。

具体的には、相続人の親族が代理人になる場合には、
「委任状」1枚と、
「申出人と代理人が親族であることのわかる戸籍謄本等」が必要です。

行政書士などの資格者が代理人になる場合には、
「委任状」1枚と「資格者の身分証の写し」1点が必要です。

なお、委任状は、法定相続人の全員からもらう必要はなく、
法定相続人の内の1人から、
委任状に署名押印などをもらうことで足ります。

委任状の作成方法と記載例、様式のダウンロードは、
法定相続情報証明制度の委任状」を参照ください。

以上が、制度の利用に必ず提出が必要な5つの書類と、
提出が必要になることがある2つの書類です。

なお、法定相続情報証明制度の必要書類については、
法定相続情報証明制度の必要書類」でもっとくわしく解説しています。

ただ、必要書類を窓口に提出すれば、
すぐに手続き完了になると思っていませんか?

実は、提出された必要書類の審査が法務局内で行われるため、
通常、1週間程度の審査時間がかかります。

書類審査が完了すれば、法務局から連絡がありますので、
連絡があり次第、窓口に行くと、
「法定相続情報一覧図の写し」などをもらうことができるのです。

「法定相続情報一覧図の写し」とは何かや、
有効期限、受け取り方法については、
法定相続情報一覧図の写しとは?」を参照ください。

つまり、必要書類の提出後、
その場ですぐに手続き完了になるわけではありません。

そのため、法定相続情報証明制度に必要な書類を、
郵送で法務局に提出して、書類審査後に、
法務局から郵送で返送してもらう方法をおすすめします。

郵送による制度利用の具体的な手続き方法については、
法定相続情報証明制度の利用を郵送で行う方法」を参照ください。

制度利用の手続き先・手数料・手続きにかかる日数は?

法定相続情報証明制度の利用手続き先は法務局です。
ただし・・・

ただし、法務局ならどこの法務局でも良いというわけではありません。

制度の手続き先は、次の4つの法務局(登記所)の内から、
申出人が任意で選択
することができます。

  • 被相続人(亡くなった方)の最後の本籍地を管轄する法務局
  • 被相続人の最後の住所地を管轄する法務局
  • 申出人の住所地を管轄する法務局
  • 被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局

つまり、上記4つのどれかに該当する法務局なら、
どこの法務局でも良いということです。

法定相続情報証明制度の手続き先と、
管轄法務局の確認方法については、
法定相続情報証明制度の手続き先」を参照ください。


法定相続情報証明制度の利用自体には、
手数料はかかりません。ただし・・・

ただし、制度の利用に必要な戸籍謄本等は、
市区町村の役所から発行してもらうため手数料がかかります。

また、郵送で法務局に書類を提出して、
「法定相続情報一覧図の写し」などの書類を郵送で受取る場合、
発送返送の郵送料がかかります。

もし、制度の利用手続きを代理人に依頼した場合、
利用手続き作業の手間と時間から解放されますが、
代行料金がかかります。

なお、法定相続情報証明制度の利用でかかる手数料については、
法定相続情報証明制度の手数料」でもっとくわしく解説しています。


法定相続情報証明制度の手続きにかかる日数は?

制度の利用に必要な書類を法務局に提出後、
約1週間程度となります。

法務局の窓口で書類を提出した場合も、
郵送で法務局に書類を提出した場合も、
書類提出後にかかる日数はほぼ同じです。

なぜなら、提出された書類を法務局内で審査したり、
「法定相続情報一覧図の写し」の発行には、
どうしても1週間程度はかかるからです。

なお、郵送で法務局に書類を提出して、
「法定相続情報一覧図の写し」などの受取りも郵送で行う場合、
郵送日数もプラスして考えておく必要があります。

郵送による制度の利用方法については、
法定相続情報証明制度の利用を郵送で行う方法」で、
くわしく解説しています。

法定相続情報証明制度の利用手続きは代理人でもできる?

代理人でも制度の利用手続きができます。
ただ、代理人になれるのは・・・

代理人になれるのは、次の1~3のいずれかに該当する人のみです。

  1. 申出人の法定代理人
  2. 相続人の親族
  3. 代理人になれる資格者(専門家)

まず、「1.申出人の法定代理人」というのは、
申出人が未成年者であった場合に、
両親などの親権者や未成年後見人のことです。

もし、申出人が成年被後見人になっていれば、
成年後見人や保佐人、補助人も法定代理人に該当します。

次に、「2.相続人の親族」というのは、
相続人の六親等内の血族と、相続人の配偶者、
相続人の三親等内の姻族のことです。

血族は血のつながりがある人達で、
姻族はそれぞれの配偶者のことです。

次に、「3.代理人になれる資格者(専門家)」としては、
行政書士、土地家屋調査士、司法書士、弁護士、
税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士のことです。

上記のどの資格者(専門家)も、
代理人になれる国家資格者ですので、
手続きのすべてを安心して依頼することができます。

しかし、資格者(専門家)によっては、
法定相続情報証明制度の代理人業務をしていない人もいるので、
制度の手続き業務をしている専門家に依頼する必要があります。

なお、法定相続情報証明制度の代理人については、
法定相続情報証明制度の手続きは代理人に委任できる?」で、
もっとくわしく解説しています。

以上、法定相続情報証明制度について解説致しました。

法定相続情報証明制度を利用したいけど、
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法定相続情報証明制度は今も利用できる?

法定相続情報証明制度は、
平成29年5月29日から開始した制度で、
もちろん、令和3年の今現在も利用できる制度です。

「法定相続情報証明制度」について

平成29年5月29日(月)から,全国の登記所(法務局)において,各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。

引用元:“「法定相続情報証明制度」について”. 法務局.2020年10月26日更新.http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html, (閲覧日 2021-02-13)