この記事の監修者

行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
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法定相続情報証明制度は、
亡くなった方の相続人の1人であれば、
基本的に、誰でも利用することができます。

ただし、被相続人(亡くなった方)、又は相続人の内、
誰か1人でも日本国籍でない人がいる場合
には、
法定相続情報証明制度を利用できません。

なぜなら、法定相続情報証明制度の利用に必要な書類として、
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等と、
相続人全員の戸籍謄本等が必要とされているからです。

日本国籍でない人は、戸籍謄本等が日本に存在しないため、
市町村役所で戸籍謄本等を取得することができず、
法定相続情報証明制度の必要書類として提出することができないからです。

日本国籍でない人というのは、日本人ではない人や、
外国籍を取得して日本人ではなくなった人のことです。

日本人の夫婦の間に生まれた子は、
出生によって日本国籍を取得するので日本人です。

そして、日本人の夫婦が外国で子供を産んだ場合でも、
その子供は出生によって日本国籍を取得するので日本人となります。

もし、相続人の1人が、単に海外在住ということでしたら、
住んでいるのが海外というだけで、国籍が日本である限り、
法定相続情報証明制度を利用できるのです。

また、相続が開始していない人(生きている人)については、
法定相続情報証明制度を利用することはできません。

どういうことかと言えば、
すでに亡くなった方がいて、その相続人であるという立場の人でないと、
法定相続情報証明制度を利用することはできないということです。

なぜなら、法定相続情報証明というのは、
すでに亡くなっている方(被相続人)がいて、
その相続人が誰々なのかということを証明することになるからです。

生きている人については、相続関係がまだ確定していないため、
法定相続情報を証明することができないからです。

ちなみに、法定相続情報証明制度は、
平成29年5月29日から開始されていますが、
それ以前にすでに亡くなっている方の相続についても利用できます。

つまり、現時点ですでに亡くなっている方(日本人)がいて、
その相続人という立場にあれば、相続人全員が日本人である限り、
誰でも法定相続情報証明制度を利用できるということです。

ただし、ここで言う相続人とは、
法定相続人(法律上定められた相続人)のことです。

一般的に、相続人といえば、
法定相続人のことを指す場合と、
遺産を実際に相続する人のことを指す場合があります。

法定相続人(法律上定められた相続人)というのは、
たとえば、父 または 母が亡くなれば、
その子供全員が法律上、法定相続人になります。

もし、子供や孫がいなければ、亡くなった方の両親が法定相続人となり、
亡くなった方の両親や祖父母も全員すでに亡くなっていれば、
亡くなった方の兄弟姉妹が法定相続人です。

あくまで、法定相続情報証明制度を利用できるのは、
亡くなった方の法定相続人の1人ということなのです。

また稀に、亡くなった方の遺産としては、
銀行預金だけしかなく、不動産はないのに、
法定相続情報証明制度を利用できるのかと心配される人がいます。

亡くなった方の遺産が、銀行預金しかなくても、
亡くなった方と相続人全員が日本人であれば、
法定相続情報証明制度を利用できるということです。

なお、法定相続情報証明制度を利用する場合、
相続人側で手続きを行うのが難しいときには、
専門家などの代理人に委任(依頼)することもできます。

しかし、誰でも代理人となって、
法定相続情報証明制度を利用できるかと言えば、
そうではありません。

法定相続情報証明制度を利用できる代理人というのは、
申出人(相続人の1人)の親族か、または、
法律で定めらた専門家のみです。

法律で定められた専門家とは、
行政書士、土地家屋調査士、司法書士、弁護士、弁理士、
社会保険労務士、海事代理士、税理士のことです。

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