委任による代理人が法定相続情報一覧図の写しを取得する場合、
代理人の権限を証する書面として、
申出人からの委任状を添付する必要があります。
(不動産登記規則第247条第3項第7号)

ただ、「法定相続情報一覧図の委任状はどんな様式?」、
「法定相続情報一覧図の委任状に印鑑の押印は必要?」、
「法定相続情報一覧図の再交付の委任状は?」など、
よくわからないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、法定相続情報一覧図の委任状について、
「法定相続情報一覧図の写し」の取得業務を行う行政書士が、
具体的にわかりやすく解説致します。
※この記事の末尾で委任状のダウンロードも可能です。

この記事の監修者

行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
行政書士・土地家屋調査士のプロフィールはこちら

この記事を閲覧することで、委任状の様式と作成方法がわかり、
誰でも委任状の様式をダウンロードして、委任状がすぐに作れます。

法定相続情報一覧図の委任状の様式と作成方法

下図1は、法定相続情報一覧図の委任状の様式です。

法定相続情報一覧図の委任状の様式
(図1:法定相続情報一覧図の委任状の様式)

この様式は、法務局が公にする法定相続情報一覧図の委任状で、
個人から行政書士など資格者代理人への委任はもちろん、
個人から個人への委任にも使用できるものです。
(※法務局のHP上で掲載している法定相続情報一覧図の委任状

通常、A4サイズの用紙を縦にして作成します。

パソコンなどで作成して印刷したものでも良いですし、
すべて手書きで作成したものでもかまいません。

ただ、委任状には、次の1~5の内容の記載が必要です。

  1. 誰が誰に委任するのかがわかる内容
  2. 委任する内容
  3. 被相続人の最後の住所(又は本籍)と氏名、死亡年月日
  4. 委任した年月日
  5. 委任者の住所、氏名

実際の委任状で言えば、
下図2のそれぞれの赤枠部分のことです。

法定相続情報一覧図の委任状に記載する内容
(図2:法定相続情報一覧図の委任状に記載する内容)

上図2の1~5のそれぞれの内容について、
1つ1つ順番に解説致します。

1. 誰が誰に委任するのかがわかる内容

誰が誰に委任するのかがわかる内容は、
下図3のように記載します。

誰が誰に委任するのかがわかる内容
(図3:誰が誰に委任するのかがわかる内容)

もし、被相続人の親族が代理人の場合は、
代理人の住所と氏名欄に、
その親族が住民票に登録している住所と氏名を記入します。

行政書士などの資格者が代理人の場合は、
登録している事務所の住所と資格者の氏名を記入します。

もし、登録とは異なる住所や氏名を記入してしまうと、
その委任状は無効になってしまうので注意が必要です。

また、被相続人の親族 または、
戸籍法第10条の2第3項に掲げる者以外を代理人としても、
その委任状は無効になってしまいます。

戸籍法第10条の2第3項

弁護士(弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項において同じ。)、弁理士(弁理士法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)

なぜなら、法定相続情報証明制度を利用する場合、
委任による代理人になれるのは、被相続人の親族、
又は、上記の戸籍法第10条の2第3項に掲げる者に限ると、
不動産登記規則第247条第2項第2号で定められているからです。

なお、法定相続情報証明制度で代理人になれる人については、
法定相続情報証明制度の代理人になれる人は?」で、
くわしく解説しています。

2. 委任する内容

委任する内容については、下図4の1~4の内容と共に、
希望する法定相続情報一覧図の写しの交付通数を記入します。

委任する内容
(図4:委任する内容)

つまり、代理人に取得してほしい通数を記入するのです。

なお、委任状に記入した交付通数よりも多い通数は、
その委任状では取得できないので注意が必要です。

3. 被相続人の最後の住所(又は本籍)と氏名、死亡年月日

下図5のように、被相続人の最後の住所(又は本籍)と氏名、
死亡年月日については、被相続人の戸籍や、
住民票の除票(又は戸籍の附票)の記載通りに記入します。

被相続人の最後の住所(又は本籍)と氏名、死亡年月日
(図5:被相続人の最後の住所(又は本籍)と氏名、死亡年月日)

もし、被相続人の戸籍や住民票の除票等の内容と異なる場合、
委任状が無効になってしまうので注意が必要です。

なお、被相続人の最後の住所を記入するか、
最後の本籍を記入するかで迷うかもしれませんが、
どちらを記入してもかまいません。

ただ、被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票が、
必要書類の1つになっているので、
被相続人の最後の住所を記入するのが一般的です。

もちろん、被相続人の住民票の除票も戸籍の附票もない場合は、
被相続人の最後の本籍を記入することになります。

4. 委任した年月日

実際に委任する年月日を記載します。

5. 委任者の住所、氏名

委任者の住所と氏名は、下図6のように、
委任者の住民票(または戸籍の附票)の記載と、
一致している必要があります。

委任者の住所と氏名
(図6:委任者の住所と氏名)

なお、委任者の住所と氏名については、
記名でも問題ありませんが、委任者の自署が望ましいです。

なぜなら、委任者本人が委任状の内容を確認する意味では、
住所と氏名を自署することが望ましいからです。

ただ、委任者の住所と氏名が記名(印字)でも有効ですが、

法定相続情報一覧図の委任状に印鑑の押印は必要?

法定相続情報一覧図の委任状には、
委任者の印鑑の押印も、代理人の印鑑の押印も、
どちらも必要ありません。

委任状には、以前までは委任者の押印が必要でしたが、
法定相続情報証明制度について押印の廃止が決まり、
令和3年4月1日から委任者の押印も必要なくなったからです。

ただ、委任者の押印があっても特に問題ないので、
実務的には、委任者が押印しても、押印しなくても、
どちらでも良いということです。

委任者の住所と氏名を確認できる公的書類と、
委任者の住所と氏名が一致している必要があります。

委任者は、法定相続情報証明制度の申出人となる人です。

そして、申出人の住所と氏名を確認できる公的書類が、
必ず用意する書類の1つとなっています。

そのため、委任状に記入する委任者の住所と氏名は、
委任者の住所と氏名を確認できる公的書類と、
一致している必要があるということです。

また、委任した年月日については、
印字されたものでも良いのですが、
できれば、委任者本人に書いてもらう方が良いです。

委任者本人が年月日も記入すれば、
委任者が委任状の内容を確認して、
代理人に委任した年月日が明確になるからです。

以上、法定相続情報証明制度の委任状について解説致しました。

法定相続情報一覧図の委任状は原本還付できる?

法定相続情報一覧図の再交付の委任状は?

委任状の様式のダウンロード

法定相続情報証明制度の委任状の様式(白紙)を、
下記リストからご自由にダウンロードしてご使用下さい。

Word(ワード)とPDFの2つの形式をご用意しています。

なお、法定相続情報証明制度の利用を代理人が行う場合、
委任状以外にも、「申出書」や「法定相続情報一覧図」、
「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等」など、
6つの書類を必ず用意しなければなりません。

制度の利用に必要な書類については、
法定相続情報証明制度の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。

「申出書」や「法定相続情報一覧図」については、
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」、
法定相続情報一覧図とは?」を参照ください。

もし、法定相続情報一覧図の写しなどの取得でお困りの方は、
法定相続情報一覧図の写しなどの取得で困っていませんか?で、
楽に解決する方法もあります。

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