行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。
経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
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「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」とは、
法定相続情報証明制度を利用する際に、
法務局に必ず提出しなければならない書類の1つです。
この申出書には様式があり、
記入内容や書き方が決められています。
もし、申出書の記入内容や書き方が違っていれば、
あとで困ることになってしまいます。
そこで、この記事では、法定相続情報一覧図の申出書について、
相続専門の行政書士が、次の順番で、
具体的にわかりやすく解説致します。
このページを閲覧すると、申出書の作成で困ることはなくなるでしょう。
「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の様式は?
申出書の様式は、過去に何度か部分的に変わっているので、
古い様式を使わないように注意が必要です。
申出書の最新の様式
申出書のどこに記入すれば良い?
記入すべき箇所は、太枠内の各項目のみです。
太枠外の項目は、法務局に書類を提出した後で、
法務局側が記入する箇所になります。
申出書の用紙サイズは?
この申出書は、A4サイズで作成して、
用紙は普通のコピー用紙でかまいません。
パソコン等で入力してから印刷しても良いですし、
先に様式を印刷してから、
手書きで記入してもかまいません。
申出書は何枚提出が必要?
申出書は1枚だけ法務局に提出すれば良いです。
ただ、法務局から問い合わせがあった場合に備えて、
申出書の控えを手元に用意しておくことをお勧めします。
「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の記載例
申出人が手続きする場合の申出書の記載例
このように、太枠内の赤文字部分に記入したり、
チェック(レ)を入れる必要があります。
なお、上図の記載例では記入すべき箇所を見やすくするため、
赤文字にしていますが、
実際に記入したりチェック(レ)するのは黒字です。
申出書の書き方については、
下記の「あとで困らない申出書の書き方は?」で、
くわしく解説しています。
申出書の最新の様式をダウンロードして印刷したい場合は、
下記の「申出書の様式をダウンロード・印刷するには?」を、
ご自由にご利用ください。
代理人が手続きする場合の申出書の記載例
代理人が手続きを行う場合には、上図3のように、
「代理人の表示」欄にも記入が必要になります。
引き続き、申出書の書き方については、
下記の「あとで困らない申出書の書き方は?」で、
くわしく解説しています。
申出書の書き方
申出書の書き方は、下図①~⑨の項目の順番で、
それぞれくわしく解説していきます。
① 申出年月日
申出年月日は、申出書を法務局に提出する年月日を記入します。
もし、郵送で法務局に提出する場合には、
発送する年月日を記入します。
太枠の外の補完年月日や法定相続情報番号は、
法務局側が記入する項目のため、
何も記入する必要はありません。
② 被相続人(亡くなった方)の表示
被相続人(ひそうぞくにん)とは、亡くなった方のことです。
亡くなった方の氏名と最後の住所、出生年月日、死亡年月日を、
亡くなった方の最後の住民票(又は戸籍の附票)や戸籍を見て、
記載されているとおりに記入します。
もし、亡くなった方の戸籍に記載されている死亡年月日が、
「〇月〇日から〇月〇日までの間」といった推定期間の場合も、
戸籍に記載されているとおりに死亡年月日を記入します。
また、亡くなった方の最後の住所がわからない場合は、
「最後の住所」の所に、最後の戸籍の本籍地番を記入します。
③ 申出人の表示
申出人は、誰でも良いというわけではありません。
申出人は、「亡くなった方の法定相続人の内の1人」か、
または、「相続人の地位を相続により承継した人」でなければなりません。
そのため、被相続人(亡くなった方)の法定相続人でしたら、
どなたが申出人になってもかまいません。
では、法定相続人は誰になるのか?については、
「法定相続とは?法定相続人の範囲と法定相続分」で、
くわしく解説しています。
「申出人の表示」欄には、
申出人の住所、氏名、連絡先の電話番号、
被相続人(亡くなった方)との続柄を記入します。
ただし、申出人の住所と氏名については、
申出人の住民票(又は戸籍の附票)と同じでなければなりません。
連絡先の電話番号については、
携帯電話番号でも、固定電話番号でもどちらでも良いですが、
法務局からの電話に出れる番号を記入します。
そして、被相続人との続柄の所には、亡くなった方から見て、
申出人が配偶者なら「夫」又は「妻」と記入し、
申出人が子供なら「長男、長女、二男、二女・・」と記入します。
以前は、申出人が子供なら「子」と記入して良かったのですが、
今は基本の書き方ではありません。
亡くなった方から見て、
申出人が両親なら「父」又は「母」と記入します。
申出人が兄弟姉妹なら「兄」「弟」又は「姉」「妹」と記入し、
申出人が甥姪なら「甥」又は「姪」と記入します。
つまり、被相続人との続柄は、
亡くなった方から申出人を見た関係を記入するわけです。
なお、申出人とは何かや、申出人は複数でも良いのか、
申出人になるとどうなるのかなどについては、
「法定相続情報一覧図の申出人について徹底解説!」で、
それぞれくわしく解説しています。
以前は、申出人の氏名の右横に、
申出人の印を押す必要がありましたが、
令和3年4月1日から押印廃止のため不要となっています。
④ 代理人の表示
この「代理人の表示」欄は、
代理人が手続きをする場合にのみ、
記入する必要があります。
誰でも代理人になれるわけではありません。
代理人になれるのは、申出人の「法定代理人」か、
「委任による代理人」のみです。
まず、申出人の「法定代理人」というのは、
申出人が未成年なら「親権者・未成年後見人」のことです。
申出人が被成年後見人なら、
「成年後見人・保佐人・補助人」が法定代理人に該当します。
また、「不在者財産管理人・相続財産管理人」も、
法定代理人に該当します。
次に、「委任による代理人」というのは、
「相続人の親族」か、「資格者代理人」のことです。
「資格者代理人」というのは、具体的には、
行政書士、土地家屋調査士、司法書士、弁護士、弁理士、
社会保険労務士、税理士、海事代理士のことを指します。
そして、「代理人の表示」欄には、
代理人の住所、氏名、連絡先の電話番号を記入します。
もし、代理人が「資格者代理人」の場合には、
代理人の住所として事務所の住所を記入します。
そして、申出人との関係の所には、
「法定代理人」または「委任による代理人」のどちらかに、
チェック(レ)を入れます。
以前は、代理人の氏名の右横に代理人の押印が必要でしたが、
令和3年4月1日より押印廃止により、
申出書への押印は不要です。
また、申出書だけでなく、法定相続情報一覧図への押印も、
法定相続情報証明制度の委任状への押印も、
同じ理由で押印はすべて不要となっています。
法定相続情報一覧図とは何かについては、
「法定相続情報一覧図とは?」を、
法定相続情報証明制度の委任状については、
「法定相続情報証明制度の委任状を徹底解説!」を参照ください。
⑤ 利用目的
法定相続情報証明制度の利用目的は、
「不動産登記」、「預貯金の払戻し」、「相続税の申告」、
「年金等手続き」、「その他」から、
該当するすべてにチェック(レ)します。
たとえば、不動産と預貯金の相続手続きを予定していれば、
「不動産登記」と「預貯金の払戻し」にチェック(レ)します。
預貯金の相続手続きだけ予定していれば、
「預貯金の払戻し」のみにチェック(レ)です。
もし、「その他」にチェックを入れる場合には
「その他」の右横の( )の空欄に、株式の相続手続きなど、
具体的な相続手続きを記入する必要があります。
なお、利用目的については、
かならず相続に関する手続きでなければなりません。
単に相続関係説明図の作成や、
家系図の作成が利用目的の場合には、
制度を利用できないので注意が必要です。
⑥ 必要な写しの通数・交付方法
「法定相続情報一覧図の写し」の必要通数は、
申出人の方で決めることができます。
ただし、上記⑤の利用目的から、
必要通数が適切かどうかを法務局側で判断されますので、
おかしくない範囲内での必要通数を記入すべきです。
10通程度であれば、通常、特に問題ありません。
そして、「法定相続情報一覧図の写し」などの受け取り方法は、
「窓口で受取」か「郵送」で受け取りかのどちらかを、
申出人が自由に選択することができるのです。
「法定相続情報一覧図の写し」とは何か、無い場合とある場合、
交付通数と手数料、有効期限や受け取り方法については、
「法定相続情報一覧図の写しとは?」を参照ください。
なお、「郵送」で受け取りを選択した場合は、
切手貼り付け済みで返送先も書いた返送用封筒を、
法務局に渡しておく必要があります。
おすすめは、「郵送」による受け取りです。
なぜなら、「郵送」による受け取りなら、
法定相続情報証明制度の利用手続き書類を提出する時に、
返送用封筒も一緒に提出しておくことで、
手続きが完了次第、自動的に完了書類が返送されてきます。
そのため、手続きが完了したかどうかの確認作業が不要となり、
法務局の窓口まで取りに行く必要もなくなるからです。
郵送による制度の利用方法については、
「法定相続情報証明制度の利用を郵送で行う方法」で、
くわしく解説しています。
⑦ 被相続人名義の不動産の有無
亡くなった方の名義の不動産がなければ、
「無」にチェックを入れるだけでかまいません。
もし、不動産があれば、「有」にチェックを入れて、
右横の空欄に、亡くなった方名義の不動産を1つ記入します。
不動産を記入する場合には、「不動産の所在地番」、
または、「不動産番号」のどちらかを記入します。
ただ、「不動産の所在地番」を記入する場合、
不動産の種類によって記入すべき内容が次のように異なります。
土地の場合 | 所在と地番を記入 |
建物の場合(戸建て) | 所在と家屋番号を記入 |
マンションの敷地の場合 | 一棟の建物所在と地番を記入 |
マンションの一室の場合 | 一棟の建物の所在と家屋番号を記入 |
「不動産の所在地番」を記入する場合で注意すべきことは、
何番何号という住居表示の記入ではないことです。
できれば、不動産の登記簿謄本 または 登記情報を取得して、
「不動産の所在地番」を確認して、
記載通りに記入すれば間違いありません。
ただ、不動産の記入で最も簡単なのは、
「不動産番号」を記入することです。
なぜなら、不動産の登記簿謄本や登記情報には、
「不動産番号」も記載されているので、
その番号(13桁の数字)を記入するだけになるからです。
⑧ 申出先登記所の種別
登記所というのは、法務局の中にあり、
登記に関する事務を担当している部署のことです。
申出書などの手続き書類の提出は、
全国どこの法務局(登記所)でも良いというわけではありません。
法務局(登記所)には、それぞれ管轄があるので、
管轄の法務局に提出しなければならないのです。
そして、申出書などの手続き書類を提出できる法務局は、
次の4つの法務局のみです。
- 「被相続人の本籍地」を管轄する法務局
- 「被相続人の最後の住所地」を管轄する法務局
- 「申出人の住所地」を管轄する法務局
- 「被相続人名義の不動産の所在地」を管轄する法務局
「申出先登記所の種別」欄には、
上記4つの法務局の内から、申出人が自由に1つ選択して、
チェック(レ)を入れます。
ただし、「被相続人の最後の住所地」と
「申出人の住所地」を管轄する法務局が同じといった場合には、
両方にチェック(レ)を入れます。
なお、「被相続人の本籍地」というのは、
亡くなった方の過去の本籍地ではなく
亡くなった方の最後の本籍地という意味です。
おすすめは、「申出人の住所地」の法務局です。
なぜなら、近くにある「申出人の住所地」の法務局であれば、
手続き書類の提出後に不備や不足があった場合や、後日、
「法定相続情報一覧図の写し」の再交付が必要になった場合に、
郵送対応だけでなく、窓口まで行っての対応もできるからです。
申出人とは何か、申出人になるとどうなるのかなどについては、
「法定相続情報一覧図の申出人について徹底解説!」で、
くわしく解説しています。
「法定相続情報一覧図の写し」の再交付については、
「法定相続情報一覧図の写しの再交付の方法」を参照ください。
⑨ 申出書を提出する法務局の名称
申出書を提出する法務局の名称は、
管轄を調べて法務局の名称を記入します。
法務局の名称は、〇〇法務局や〇〇地方法務局だけでなく、
〇〇地方法務局〇〇支局や、
〇〇地方法務局〇〇出張所もあるので、
正確に記入する必要があるからです。
申出書をPDFでダウンロード・印刷するには?
申出書の様式(白紙)を、
下記リストからご自由にダウンロードしてご使用下さい。
Word(ワード)とPDFをご用意しています。
ただ、必要なのは申出書だけではありません。
法定相続情報証明制度に必要な6つの書類とは?
法定相続情報証明制度を利用する場合、
申出書だけでなく、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等、
法定相続情報一覧図など、少なくとも6つの書類が必要になります。
制度の利用に必要な書類については、
「法定相続情報証明制度の必要書類を徹底解説!」をご確認ください。
なお、法定相続情報証明制度を自分で利用しようという方は、
「法定相続情報一覧図を自分で取得する方法」で、
その手順と流れをご確認ください。
また、申出人は、申出書の作成や法定相続情報一覧図の作成、
法務局への必要書類の提出、
「法定相続情報一覧図の写し」の受領までを行うことになります。
もし、法定相続情報一覧図の写しなどの取得でお困りの方は、
「法定相続情報一覧図の写し等の取得で困っていませんか?」
のページで、楽に解決する方法もあります。
「法定相続情報一覧図の写し」とは何か、無い場合とある場合、
交付通数と手数料、有効期限や受け取り方法については、
「法定相続情報一覧図の写しとは?」を参照ください。
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