行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。
経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
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このページでは、数次相続にテーマを絞り、
法定相続情報一覧図は数次相続ならどうなるのか、
についてお話し致します。
具体的には、次の4つの内容について、
相続専門の行政書士が解説致します。
被相続人が2人以上の数次相続の場合、
法定相続情報一覧図はどうなる?
まず、数次相続(すうじそうぞく)というのは、
被相続人(亡くなった方)の相続手続きを済ませる前に、
相続人の1人が亡くなってしまった相続のことです。
相続人が亡くなってしまったことで、
最初に亡くなった方と、あとで亡くなった相続人が、
どちらも被相続人となり、被相続人が2人になります。
ただ、法定相続情報一覧図を作成する場合、
被相続人(亡くなった方)については、
かならず1人のみを記載することになっています。
なぜなら、被相続人 1人に対して、
その法定相続人の情報を一覧図にしたものが、
法定相続情報一覧図だからです。
被相続人が2人以上の数次相続の場合、
法定相続情報一覧図は具体的にどうなる?
結論としては、数次相続が発生している場合、
法定相続情報一覧図を作成するには、
用紙を1枚ではなく、2枚に分ける必要があります。
具体的には、最初に亡くなった方を被相続人として、
死亡時点の法定相続情報一覧図を作成します。
その法定相続情報一覧図には、
あとで亡くなった相続人についても、
相続人として、氏名、生年月日、続柄を記載します。
そして、今度は別の用紙に、
あとで亡くなった相続人を被相続人として、
法定相続情報一覧図を作成するのです。
つまり、最初に亡くなった方の法定相続情報一覧図1枚と、
後で亡くなった相続人の法定相続情報一覧図1枚の2枚1組で、
数次相続に対応することになります。
制度利用前に数次相続が発生している場合と、
制度利用後に数次相続が発生した場合でどう違う?
「法定相続情報証明制度の利用前に数次相続が発生したケース」と、
「制度の利用後に数次相続が発生したケース」では、
対応の仕方に違いがあります。
法定相続情報証明制度の利用前に数次相続が発生したケース
法定相続情報証明制度を利用する際に、
被相続人(亡くなった方)の相続人の1人が、
すでに亡くなっているケースについて解説いたします。
ただし、間違えやすいのが、
被相続人が亡くなる前に死亡した相続人については、
数次相続ではなく代襲相続になるので注意が必要です。
法定相続情報一覧図1枚にまとめることはできる?
数次相続では、最初に亡くなった方の法定相続情報一覧図と、
後で亡くなった相続人を被相続人とする法定相続情報一覧図を、
それぞれ1枚(合計2枚)作る必要があります。
数次相続の場合、
被相続人2人を法定相続情報一覧図1枚にまとめて、
制度を利用することはできません。
そのため、最初に亡くなった方の法定相続情報一覧図には、
最初に亡くなった方を被相続人として、
死亡時点の法定相続情報一覧図を1枚作成します。
この例は、最初に亡くなった法務一郎を被相続人とした法定相続情報一覧図です。
最初に亡くなった方の死亡時点では、
あとで亡くなった相続人 法務数子 はその時は生きていたので、
相続人として氏名、生年月日、続柄を記載します。
そして、もう1枚の用紙に、
あとで亡くなった相続人(法務数子)を被相続人として、
法定相続情報一覧図を作成するのです。
以上の2種類の法定相続情報一覧図と、申出書、
戸籍謄本などを法務局に提出すれば、
2種類の「法定相続情報一覧図の写し」を交付してもらえます。
そして、銀行預金や保険金、不動産などの相続手続き先には、
2種類の「法定相続情報一覧図の写し」を提出すれば、
数次相続に対応できるというわけです。
なお、「法定相続情報一覧図の写し」とは具体的に何かや、
「法定相続情報一覧図の写し」の有効期限、受け取り方法は、
「法定相続情報一覧図の写しとは?」でくわしく解説しています。
また、夫又は妻が相続人の場合や、子供が相続人の場合、
兄弟姉妹が相続人の場合、甥姪が相続人の場合など、
それぞれの場合の法定相続情報一覧図の見本とひな形は、
「法定相続情報一覧図の見本とテンプレート」をご確認下さい。
父(又は母)の遺産の相続手続きを済ませる前に、
母(又は父)も死亡してしまった数次相続のケースについては、
「数次相続とは?父の遺産未分割のまま母も死亡」で、
くわしく解説しています。
引き続き、このページの下記では、
「相続人が死亡したら法定相続情報一覧図はどうなる?」や、
「法定相続情報証明制度の利用後に数次相続が発生したケース」
について解説しています。
法定相続情報証明制度の利用後に数次相続が発生したケース
法務局から「法定相続情報一覧図の写し」をもらったあとで、
相続人の1人が死亡したケースについてご説明いたします。
このケース(制度利用後に数次相続が発生したケース)では、
最初に亡くなった被相続人の銀行預金や不動産の相続手続きを、
「法定相続情報一覧図の写し」1枚だけで進めることはできません。
なぜなら、相続人の1人が亡くなってしまうことで、
「法定相続情報一覧図の写し」の情報と、
実際の相続関係に違いがあるからです。
「法定相続情報一覧図の写し」の情報と、
実際の相続関係に違いがある場合、
あとで亡くなってしまった相続人を被相続人として、
新たに、法定相続情報証明制度の手続きを行う必要があります。
つまり、あとで亡くなってしまった相続人を被相続人として、
その時点の法定相続情報一覧図等を作成し、法務局に提出して、
「法定相続情報一覧図の写し」を追加で発行してもらうのです。
そして、あとで亡くなった方の「法定相続情報一覧図の写し」と、
最初に亡くなった方の「法定相続情報一覧図の写し」を、
2枚1組にして、各相続手続き先に提出すれば、
数次相続に対応できるというわけです。
相続人が死亡したら法定相続情報一覧図はどうなる?
基本的な考え方として、
被相続人1人につき、法定相続情報一覧図を1つ作ります。
被相続人の相続人の1人が亡くなった場合なら、
法定相続情報一覧図を2つ作成する必要があり、
さらに相続人がもう1人亡くなった場合なら、
法定相続情報一覧図を3つ作成する必要があるのです。
法定相続情報一覧図は数次相続ならどうなるのかについては、
下記の【YouTube動画】でもわかりやすく解説しています。
動画のご視聴はどなたでも何回でも無料ですので参照下さい。
※上の画像をクリックすると動画が始まります。
亡くなった父親の相続手続きを済ませる前に、
相続人の1人であった母親も亡くなってしまった場合など、
被相続人の相続を済ませる前に、その相続人が死亡すると、
数次相続(すうじそうぞく)と呼ばれる相続になります。
数次相続になってしまった場合、
法定相続情報一覧図の作成だけでなく、
銀行預金や不動産などの相続手続き書類自体も複雑化します。
そして、数次相続によって必要な戸籍謄本等が増えたり、
遺産分割協議書が複雑になったりしますので、くわしくは、
「数次相続とは?父の遺産未分割のまま母も死亡」を参照下さい。
また、亡くなった方の銀行預金のご相続でお困りの方は、
「銀行預金の相続手続に困っていませんか?」で、
相続問題を最短で楽に解決することも可能です。
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