この記事の監修者

行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
行政書士・土地家屋調査士のプロフィールはこちら

法定相続情報証明制度を利用する場合の申出は、
代理人が行うこともできます。

ただ、誰でも代理人になれるわけではありません。

法定相続情報証明制度で代理人になれるのは、次の者のみです。

  • 申出人の法定代理人
  • 委任による代理人

ただし、委任による代理人については、申出人の親族か、
戸籍法第10条の2第3項に掲げる者(8士業)に限ります。

なぜなら、不動産登記規則第247条第2項第2号で、
「申出人の法定代理人又はその委任による代理人にあっては
その親族若しくは戸籍法第十条の二第三項に掲げる者に限る」
と、定められているからです。

そこで、代理人になれるのは具体的に誰なのかわかるように、
相続手続き業務を行っている行政書士が、
法定相続情報証明制度の代理人について解説いたします。

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この記事を閲覧すると、具体的にどんな人がどのようにして、
法定相続情報証明制度の申出の代理人になれるのかがわかります。

申出人の法定代理人

次の1~3の者は、申出人の法定代理人として、
法定相続情報証明制度の代理人になれます。

  1. 申出人の親権者・未成年後見人
  2. 申出人の成年後見人・代理権のある保佐人又は補助人
  3. 不在者財産管理人・相続財産管理人

それでは1つずつ簡単に解説していきます。

1.申出人の親権者・未成年後見人

申出人が未成年者の場合は、
申出人の親権者や未成年後見人が、法定代理人として、
法定相続情報証明制度の申出の代理人になれます。

申出人の親権者や未成年後見人が、
法定相続情報証明制度の申出の代理人になる場合には、
「代理人の権限を証する書面」として、次の書類が必要です。

  • 親権者や未成年後見人であることのわかる戸籍の謄抄本又は記載事項証明書

2.申出人の成年後見人・代理権のある保佐人又は補助人

申出人が被成年後見人(ひせいねんこうけんにん)の場合は、
成年後見人、代理権付き保佐人又は補助人が法定代理人として、
法定相続情報証明制度の申出の代理人になれます。

申出人の成年後見人や保佐人又は補助人が、
法定相続情報証明制度の申出の代理人になる場合、
「代理人の権限を証する書面」として、次の書類が必要です。

  • (成年後見人の場合)後見登記簿ファイルの登記事項証明書
  • (保佐人又は補助人の場合)代理権目録付きの後見登記簿ファイルの登記事項証明書

3.不在者財産管理人・相続財産管理人

不在者財産管理人又は相続財産管理人が、
法定相続情報証明制度の申出の代理人になる場合、
「代理人の権限を証する書面」として、次の書類が必要です。

  • 各管理人の選任にかかる審判書

委任による代理人

委任によって法定相続情報証明制度の代理人になれるのは、
次の1及び2の者のみで、それ以外の者は代理人になれません。

  1. 申出人の親族
  2. 戸籍法第10条の2第3項に掲げられる者(8士業)

それでは1つずつ簡単に解説していきます。

1.申出人の親族

申出人の親族というのは、次の者のことです。

  • 申出人の6親等内の血族
  • 申出人の配偶者
  • 申出人の3親等内の姻族

まず、申出人の子供、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹、甥姪、
おじ・おば、いとこについては、六親等内の血族となり、
親族に該当しますので、代理人になることが可能です。

次に、申出人の配偶者(夫または妻)も親族なので、
代理人になれます。

次に、申出人の配偶者の父母や祖父母、兄弟姉妹、
おじ・おばや甥姪は、三親等内の姻族となり、
親族に該当しますので、代理人になることが可能です。

また、申出人の子供の配偶者や、申出人の孫の配偶者、
申出人の兄弟姉妹の配偶者や、申出人の甥姪の配偶者も、
三親等内の姻族となり、親族に該当しますので、
法定相続情報証明制度の代理人になることができます。

ただ、これら申出人の親族が代理人になる場合には、
「代理人の権限を証する書面」として、次の書類が必要です。

  • 申出人からの委任状
  • 申出人との親族関係のわかる戸籍の謄抄本又は記載事項証明書

なお、「代理人の権限を証する書面」は、原本だけでなく、
原本と相違ない旨と記名又は署名したコピーを添付すれば、
原本還付(原本の返却)をしてもらえます。

法定相続情報証明制度に必要な書類の原本還付については、
法定相続情報一覧図の原本還付について」をご参照ください。

また、委任状の様式や作成方法などについては、
法定相続情報一覧図の委任状を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。

2.戸籍法第10条の2第3項に掲げられる者(8士業)

戸籍法第10条の2第3項の資格者というのは、
具体的には、次の8士業のことです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 土地家屋調査士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 弁理士
  • 海事代理士
  • 行政書士

土地家屋調査士法人や行政書士法人など、
各士業法の規定を根拠に設立された法人も上記に含まれます。

上記の資格者が代理人になる場合には、
「代理人の権限を証する書面」として、次の書類が必要です。

  • 申出人からの委任状
  • 資格者が所属する団体所定の身分証明書の写し
  • 資格者が各士業法による法人であれば、法人の登記事項証明書

なお、委任状の様式や作成方法などについては、
法定相続情報一覧図の委任状を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。

法定相続情報証明制度に必要な書類については、
法定相続情報証明制度の必要書類を徹底解説!」をご参照ください。

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