この記事の監修者

行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
行政書士・土地家屋調査士のプロフィールはこちら

法定相続情報一覧図には、被相続人に関しては、その氏名、
生年月日、最後の住所および年月日を、相続人に関しては、
相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日、
及び被相続人との続柄を記載することとされています。
(※不動産登記規則第247条第1項第1号及び2号)

そのため、被相続人(亡くなった方)の住所は、
法定相続情報一覧図に必ず記載しなければなりません。

しかし、相続人の住所は、
法定相続情報一覧図に記載しても良いですし、
記載しなくてもかまいません。

つまり、被相続人の住所の記載は必須ですが、
相続人の住所を記載するかどうかは、申出人の任意ということです。

ただ、法定相続情報一覧図に相続人の住所記載なしの場合と、
相続人の住所を記載した場合とでは、添付書類や、
あとあとの相続手続きの際に違いが出てきます。

そこで、法定相続情報一覧図に住所の記載なしの場合と、
相続人の住所を記載した場合の違いについて、
相続手続き業務を行っている行政書士が解説致します。

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この記事では、法定相続情報一覧図に住所の記載なしの場合と、
相続人の住所を記載した場合の違いがわかります。

法定相続情報一覧図に住所の記載なしの場合

下図1のように、法定相続情報一覧図に相続人の住所がなくても、
「法定相続情報一覧図の写し」の交付の申出には、特に問題ありません。

相続人の住所の記載がない法定相続情報一覧図の例
(図1:法定相続情報一覧図に相続人の住所の記載がない例)

法定相続情報一覧図に相続人の住所がない場合は、
「法定相続情報一覧図の写し」の交付の申出をする際に、
相続人の「住所を証する書面」の添付が不要になるだけです。

しかし、そのあとの各種の相続手続きをする際には、
「法定相続情報一覧図の写し」だけでなく、
相続人の「住所を証する書面」についても、
別途添付しなければならなくなることがあります。

たとえば、次の相続に関する手続きでは、
相続人の「住所を証する書面」を別途添付しなければならなくなります。

  • 不動産(土地や家屋)の相続手続き(名義変更手続き)
  • 家庭裁判所での遺言書の検認手続き(遺言書がある場合のみ)

これらの手続き以外でも、手続き先によっては、
相続人の「住所を証する書面」が、
別途必要になることもあるので注意が必要です。

ちなみに、相続人の「住所を証する書面」というのは、
具体的には、次のいずれかの書面のことです。

  • 住民票の写し
  • 住民票記載事項証明書
  • 戸籍の附票

上記のいずれかの書面を取得するには、
郵送で取得する場合の郵送代を除いて、
役所手数料が300円~400円程度かかります。

そのため、「法定相続情報一覧図」に相続人の住所なしで、
あとの各種相続手続きでも「住所を証する書面」が不要なら、
その役所手数料がかからなくなるというメリットはあります。

しかし、あとの相続手続きのことを考えると、
法定相続情報一覧図には、相続人の住所を記載しておいた方が安心と言えます。

相続人全員の住所を法定相続情報一覧図に記載していれば、
住所変更の場合以外、住所のことで困ることは無いからです。

なお、法定相続情報一覧図に記載の住所に変更があった場合は、
「法定相続情報一覧図の住所変更したら?」を参照下さい。

法定相続人が、被相続人の子供の場合、父母又は祖父母の場合、
兄弟姉妹や甥姪の場合の法定相続情報一覧図の各見本などは、
法定相続情報一覧図の見本とテンプレート」をご確認下さい。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載した場合

下図2は、法定相続情報一覧図に、
相続人全員の住所を記載した場合の例です。

相続人全員の住所を記載した場合の法定相続情報一覧図の例
(図2:相続人全員の住所を記載した場合の法定相続情報一覧図の例)

法定相続情報一覧図に、相続人の住所を記載した場合には、
「法定相続情報一覧図の写し」の交付の申出をする際に、
相続人の「住所を証する書面」の添付が必要になります。

なぜなら、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載した時は、
申出書にその住所を証する書面を添付しなければならないと、
不動産登記規則第247条第4項で定められているからです。

相続人の「住所を証する書面」とは、
具体的には、相続人の「住民票の写し」または、
「住民票記載事項証明書」、若しくは「戸籍の附票」の事です。

もし、次の相続に関する手続きの内、
1つでも今後予定している手続きがある場合には、
法定相続情報一覧図に住所を記載しておく方が良いです。

  • 不動産(土地や家屋)の相続手続き(名義変更手続き)
  • 家庭裁判所での遺言書の検認手続き(遺言書がある場合のみ)

なぜなら、上記の不動産の相続手続きや検認の手続きでは、
相続人全員の「住所を証する書面」が必要だからです。

もし、法定相続情報一覧図に相続人の住所がなければ、
不動産の相続手続きや検認の手続きなどの際に、
法定相続情報一覧図の提出だけでなく、
相続人の「住所を証する書面」も提出しなければならなくなります。

逆に、法定相続情報一覧図に相続人全員の住所の記載があれば、
不動産の相続手続きや検認の手続きなどの際に、
相続人の「住所を証明する書面」を省略できるメリットがあるのです。

なお、法定相続情報証明制度では、
法定相続情報一覧図だけでなく、申出書や、
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類も必要です。

法定相続情報証明制度で必要な書類については、
法定相続情報証明制度の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。

法定相続情報一覧図の被相続人の住所についての注意事項

被相続人(亡くなった方)の最後の住所については、
法定相続情報一覧図に必ず記載しなければなりません。

ただ、被相続人の最後の住所というのは、
実際に住んでいたかどうかは関係なく、
役所で住民登録していた最後の住所のことです。

そして、被相続人の死亡時の「住民票の除票」、
または「住民票記載事項証明書」、もしくは「戸籍の附票」を、
添付書類として提出して、最後の住所を証明することになります。

なお、法定相続情報証明制度で必要な書類については、
法定相続情報証明制度の必要書類を徹底解説!」を参照下さい。

自分で法定相続情報証明制度の利用をお考えの方は、
法定相続情報一覧図を自分で取得する方法」で、
制度の利用手順(進め方)がわかります。

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