この記事の監修者

行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:法定相続情報証明制度など相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を行っています。
行政書士・土地家屋調査士のプロフィールはこちら

法定相続情報証明制度には、次の6つのメリットがあります。

  1. 複数の相続手続きを同時に進めることができる。
  2. 各相続手続きにかかる時間を短縮できる。
  3. 「法定相続情報一覧図の写し」の交付・再交付は無料。
  4. 「法定相続情報一覧図の写し」の再交付は5年間可能。
  5. 郵送で制度利用の申出や、郵送で交付・再交付も可能。
  6. 不動産が無くても制度を利用できる。

上記6つのそれぞれのメリットが積み重なることで、
どんどんメリットが大きくなっていくのが特徴です。

そこで、法定相続情報証明制度の6つのメリットについて、
法定相続情報証明制度の手続き業務を行っている行政書士が、
1つ1つ具体的にわかりやすく解説いたします。

スポンサーリンク

この記事では、法定相続情報証明制度のメリットについて、
どういった場合に、どんなメリットがあるのかがわかります。

複数の相続手続きを同時に進めることができる。

例えば、故人の銀行預金や保険金、株、不動産、車、年金など、
数種類の相続手続きが必要な場合や、
銀行預金だけでもいくつかの銀行で相続手続きが必要な場合があります。

故人の遺産の種類や相続手続き先が多いケース
(故人の遺産の種類や相続手続き先が多いケース)

そのような場合に、順番に各相続手続きを進めて行くと、
手続き先に「戸籍謄本類の原本1セット」を提出⇒書類審査
⇒返却⇒確認という作業を1ヶ所1ヶ所繰返す必要があるので、
相続手続き完了までに相当な手間と時間がかかることになります。

戸籍謄本類の原本1セットで相続手続きを進めると、手間と時間がかかる・・
(戸籍謄本類の原本1セットで相続手続きを進めると、手間と時間がかかる・・)

ただ、そうならないために、
相続手続きに必要な「戸籍謄本類の原本1セット」を、
手続き先の数だけ複数セット分用意する方法もあります。

たとえば、相続手続き先が4ヶ所なら、
「戸籍謄本類の原本」を4セット用意して、
それぞれの手続き先に同時に提出して早く済ませる方法です。

戸籍謄本類の原本数セットで相続手続きを進める例
(戸籍謄本類の原本数セットで相続手続きを進める例)

しかし、この方法ですと、時間は短縮できますが、
「戸籍謄本類の原本」の取得に、
費用と手間が数倍かかることになります。

逆に、法定相続情報証明制度を利用した場合、
相続手続き先が何か所であっても、
「戸籍謄本類の原本」は1セットあれば足り、
各相続手続きを同時に進めて早く済ませることができるのです。

なぜなら、「戸籍謄本類の原本1セット」の代わりに、
「法定相続情報一覧図の写し」を、
各相続手続き先に1枚ずつ提出すれば良くなるからです。

法定相続情報証明制度を利用すると、各相続手続きを同時に進める事が可能
(法定相続情報証明制度を利用すると、各相続手続きを同時に進める事が可能)

このように、複数の相続手続きを同時に進めることで、
相続手続き全体にかかる手間と時間を、
大幅に省略できるメリットがあるわけです。

各相続手続きにかかる時間を短縮できる。

もし、法定相続情報証明制度を利用していない場合は、
何通何十通もある「戸籍謄本類の原本」1セットの内容から、
相続人の調査確定作業を各手続き先ごとに行うことになります。

ここで大事なのが、各相続手続き先ごとに、
戸籍謄本類の内容による相続人の調査確定作業が必要になり、
各相続手続先ごとに時間がかかることです。

逆に、法定相続情報証明制度を利用した場合は、
「戸籍謄本類の原本」1セットの代わりに、
相続人が確定された「法定相続情報一覧図の写し」1枚だけを、
相続手続き先の担当者は確認すれば良いことになります。

各相続手続きにかかる時間を短縮できます。
(各相続手続きにかかる時間を短縮できます。)

その結果、各相続手続き先での処理が格段に早くなるため、
相続にかかる時間を短縮できるというメリットがあるのです。

「法定相続情報一覧図の写し」の交付・再交付は無料。

「法定相続情報一覧図の写し」の交付・再交付の手数料は無料です。

何枚交付してもらっても、何度再交付してもらっても、
法務局での手数料は無料ということです。

このことは、相続人にとって費用面でメリットがあると言えます。

「法定相続情報一覧図の写し」の再交付は5年間可能。

なぜ、このことが相続人にとってメリットなのかと言えば、
法定相続情報証明制度を利用していない場合、
通常、銀行預金などの相続手続きでは、
発行日より6か月以内の戸籍謄本類を求められることが多いです。

そのため、戸籍謄本類の取得後に、相続協議が進まなかったり、
相続手続き先が多かったり、数年後に遺産が出てきた場合、
もう1度「戸籍謄本類の原本」を取得しなければならないこともあります。

しかし、法定相続情報証明制度を利用していれば、
最初の「法定相続情報一覧図の写し」の交付の翌年から数えて、
5年間は無料で何回でも再交付してもらえるので、
5年間は安心というメリットがあるのです。

郵送で制度利用の申出や、郵送で交付・再交付も可能。

法定相続情報証明制度は、登記所が窓口となりますが、
申出書などの必要書類を、郵送で登記所に提出することも、
「法定相続情報一覧図の写し」を郵送で受け取ることも可能です。

郵送で提出可能、郵送で受け取りも可能
(郵送で提出可能、郵送で受け取りも可能)

登記所の窓口まで行けない場合に、郵送のやり取りだけで、
「法定相続情報一覧図の写し」を取得できるため、
相続人にとっては便利な制度と言えます。

不動産が無くても制度を利用できる。

法定相続情報証明制度の手続き先が法務局(登記所)なので、
相続財産に不動産がないと利用できないと思われがちですが、
不動産が無くても、制度を利用することが可能です。

たとえば、いくつかの銀行預金の相続手続きだけのためでも、
法定相続情報証明制度を利用することができます。

このように、法定相続情報証明制度を利用することで、
相続人にとって多くのメリットがありますが、
デメリットもあることには注意が必要です。

法定相続情報証明制度のデメリットについては、
法定相続情報証明制度のデメリット」で、
くわしく解説しています。

スポンサーリンク